女性タクシードライバー座談会

神奈川県内で活躍する3人の現役女性タクシードライバーに、
転職のきっかけやタクシードライバーの仕事の魅力など自由に本音を語ってもらった。

Question 転職のきっかけ

古越

前職は航海士で、日本全国に燃料を運ぶ仕事に就いていました。乗船すると最短でも3ヶ月は自宅へ戻れないため、出産をきっかけに転職しました。タクシードライバーを選んだ理由としては、未知のことにチャレンジしてみたいという好奇心と、会社併設の保育園があり、仕事と育児を両立できる環境が整っていたことが大きかったですね。

佐久間

私も同じで、会社が託児所を備えていたことが転職の決め手になりました。子どもの行事があったり、急に熱を出した時などにも融通が効き、女性が大勢いる職場という安心感もありました。タクシードライバーは男性の仕事というイメージがありますが、現在も30人ほどの女性が同僚として働いています。

稲田

私はタクシー会社のオペレーターをしていました。とにかくクルマが大好きで「いつかはタクシードライバーに」という憧れを抱いていました。コロナ禍での転職に少し躊躇しましたが、思い切って飛び込んで正解でした。面接の時、女性が歓迎されている業界であることを肌で感じましたね。

Question デビューへの不安

佐久間

知人に女性タクシードライバーがいて、いろいろとアドバイスをもらっていたのでスムーズに入っていくことができました。二種免許の取得サポートはもちろん、新人研修で一人ひとりの技能に合わせて指導してもらえるので、まったくの未経験者でもひと月くらいでデビューできると思います。

稲田

乗務初日は緊張しましたが、いきなり一人で公道を走るわけではなく、助手席に指導員を乗せた添乗実習があり、困った時にはフォローしてもらえるので不安はなかったですね。タクシードライバーの仕事は経験から学ぶことが本当に多いので、続けるほどに気持ちにゆとりが生まれ、楽しさも増しています。

古越

横浜市内が私の乗務エリアですが、茨城出身でまったく土地勘がなく、しかも運転は3年ぶり。正直、自信はありませんでした。それでも二種免許の取得支援と約1ヶ月の手厚い研修があり、好スタートを切ることができたと感じています。

Question どういう仕事

佐久間

勤務時間はだいたい朝7時半から夕方4時頃までで、エリアは海老名市内です。一回の乗務時間は約8時間で、多い日には25組のお客様を乗せます。無線配車がメインなので、通院されているご高齢の方など顔馴染みのお客様がほとんどですね。昔の町の様子など、興味深い話をたくさん聞けて社会勉強にもなります。

古越

私の場合、乗務時間は朝8時から午後2時半で、週4日勤務です。横浜市の磯子区を中心に走っていて、お客様の数は一日に15組ほどです。タクシードライバー歴はまだ半年。はじめはハンドルを持つ手が震えていましたが、お客様は基本的に優しい人ばかりで不安より楽しさが上回っています。出勤日でなくても会社の保育園に子どもを預けられるので、自分の時間もしっかり作れています。

稲田

朝6時から深夜2時まで乗務して翌日は休み、という隔日勤務で働いています。一日の乗務で50組以上のお客様を乗せることもあります。ハードに聞こえるかもしれませんが、途中に長めの休憩を何度か入れますし、月の約半分が休日なので心身ともに楽ですね。自分のための時間もたっぷりとれます。
給与は成果報酬で、同世代の女性よりは貰っているのではないでしょうか。新人ドライバーには月々の給与保証もあるので、「何人乗せなきゃ」といったプレッシャーもありません。

佐久間

給与に関して、私の場合は時給制です。時給の良い点は収入が安定していること。それと、コロナ禍などタクシーを利用するお客様が少ない時期でも不安なく働けることですね。

古越

私も時給です。ノルマなどがないため、マイペースでストレスなく働くことができています。

Question 楽しさと難しさ

稲田

「女に運転ができるの?」といった偏見を持っている方も中にはいますが、ほとんどのお客様は好意的に接してくれます。年配女性のお客様に「女性ドライバーでラッキー!」と喜んでもらえたり、気さくに話しかけてもらえるので、コミュニケーションの面では女性ドライバーの方がプラスが多いかもしれません。降りる時に「ありがとう」って声を掛けてもらえると、転職して良かったと心から思いますね。

古越

確かに、「いつもより早く着けて助かったよ」などと感謝されるとすごく嬉しいですよね。道を間違えて注意されることもありますが、「誰にでもミスはある、次から気をつけよう」と前向きに切り替えるようにしています。

佐久間

お客様に道順を任され、選んだ道が渋滞している時は少し落ち込みますね。読みが外れたって。お客様はそれに対してクレームをいうわけではないので、余計に申し訳ない気持ちになります。
女性のタクシードライバーだからという理由で困ったことはとくにないですね。年配のお客様から食事に誘われることはありますが、怖い思いなどはこれまでに一度も経験していません。

古越

まだ半年ですが、私も危険を感じたことはありません。今のタクシーは仕切り版やドライブレコーダーなど防犯対策がしっかりしているので、以前と比べてもリスクは低いと思います。

稲田

深夜の時間帯に酔ったお客様を乗せることがありますが、それでも身の危険を感じるようなことはないですね。カラまれて困ったこともありません。これからタクシードライバーを目指す女性にとって安全面は気になるでしょうが、そこまで神経質にならなくて大丈夫だと思います。

佐久間

セキュリティや運転技術を心配しすぎるより、大事なのは勤務体系や職場環境をしっかりチェックし、自分にフィットする会社を見つけることではないでしょうか。タクシードライバーはマイペースで長く続けていける魅力的な仕事ですから、先入観を捨てて、ぜひ多くの女性にチャレンジしてもらいたいですね。

本日はありがとうございました。